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OMC卬高杯2

OMC卬高杯2(E)

ユーザー解説 by zplc

 MM を求めるお話です.FPS (形式的冪級数) が使えそうだったので使いました.


 まず,MM は以下で表される式を展開したときの x22021y奇数x^{2^{2021}}y^{奇数} の係数の総和に等しい(※). f(x,y)=(1+x+x2+)(1+xy+x2y2+)(1+xy2+x2y4+)(1+xy22021+x2y2×22021+)f(x,y)=(1+x+x^2+\cdots)(1+xy + x^2y^2+\cdots)(1+xy^2 + x^2y^4 + \cdots)\cdots(1+xy^{2^{2021}}+x^2y^{2\times 2^{2021}}+\cdots) さらに,実際に展開した後の様子を考えれば,これは (f(x,1)f(x,1))/2(f(x,1)-f(x,-1))/2x22021x^{2^{2021}} の係数に等しい.以下これを求める.

  • f(x,1)f(x,1) について. f(x,1)=(1+x+x2+)22021+1f(x,1)=(1+x+x^2+\cdots)^{2^{2021}+1}x22021x^{2^{2021}} の係数を考えればよく,これは「 22021+12^{2021}+1 個の順序付いた非負整数の組であって,その総和が 220212^{2021} であるものの総数」と等しいことから 22022C22021{}_{2^{2022}} \mathrm{C}_{2^{2021}} と求められる.

  • f(x,1)f(x,-1) について. f(x,y)=11x×11xy×11xy22021f(x,y)=\frac{1}{1-x}\times \frac{1}{1-xy} \times \cdots \frac{1}{1-xy^{2^{2021}}} より,特に f(x,1)=(11x×11+x)22020+1(1+x)=(1+x2+x4+)22020+1(1+x)f(x,-1)=\left(\frac{1}{1-x}\times \frac{1}{1+x}\right)^{2^{2020}+1}(1+x) = (1+x^2+x^4+\cdots)^{2^{2020}+1}(1+x) つまり (1+x2+x4+)22020+1(1+x^2+x^4+\cdots)^{2^{2020}+1}x22021x^{2^{2021}} の係数を考えればよいから,これは先ほどと同様に 22021C22020{}_{2^{2021}} \mathrm{C}_{2^{2020}} と求められる.

以上より, M=f(x,1)f(x,1)2=22022C2202122021C220202M=\frac{f(x,1)-f(x,-1)}{2} = \frac{{}_{2^{2022}} \mathrm{C}_{2^{2021}} - {}_{2^{2021}} \mathrm{C}_{2^{2020}}}{2} と求められた.


(※)
 各因子は左から順番に 00 の個数とその総和への寄与, 11 の個数とその総和への寄与,... を意味しています.ここで,yya1+a2+a_1+a_2+\cdots に対応します.本問では「220212^{2021} 個の非負整数」の和が奇数となる場合の数を求めるので,文字 xx を導入し,x22021y奇数\underline{{x^{2^{2021}}}} y^{奇数} の係数,という縛りを設けて対応しています.
 また,実際にはある数が a1,a2,,a22021a_1, a_2, \cdots, a_{2^{2021}}の中に 220212^{2021} 個以上含まれることはないため,各因子は無限次にならないのでは?という疑問があるかもしれませんが,最終的に見るのは x22021y奇数x^{2^{2021}}y^{奇数} の係数のみなので無限次にしたところで答えには影響しません.
 この式の立て方は PCT 氏Mathlog の記事を参考にしました.