もしスムーズに本問の立体が思い浮かべられた人がいたらすごいです.中々そうはいかない人も多いと思うので,立体想像が苦手な人向けの方針を紹介します.
(0) ∣x∣+∣y∣+∣z∣=1 とは
まずは x,y,z≥0 の部分だけ考えてみます.このときの x+y+z=1 の図形なので,平面の x,y,z≥0 の部分だけを切り取ったような形,つまり三角形になります.この平面は (1,0,0),(0,1,0),(0,0,1) を通るので,この 3 点を頂点とする一辺 2 の正三角形になります.
これが残りの 7 つ (例えば x,z≥0, y≤0 の場合など) についても同じことがいえるので,立体 ∣x∣+∣y∣+∣z∣=1 は,正三角形を 8 つ貼り付けた正八面体になると分かります.
以下では上の正八面体を S と呼びます.
(1) 断面以外の処理
平面 x+y+z=0 が S の表面を 2 等分するのはなんとなく分かると思います.厳密に言うなら S の表面上の任意の点と,その原点に対しての対称点 ((x,y,z) と (−x,−y,−z)) が x+y+z=0 をまたぐことから分かります.
今 S の表面積は 43 なので,本問の立体の断面以外の表面積は 23 です.
(2) 断面の処理 (本題)
x+y+z=0 が S のどこらへんで交わりそうか特徴付けをしてみます.どう見つけても良いんですが,x+y+z の値に注目してみましょう.S の頂点は
(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1) と (−1,0,0),(0,−1,0),(0,0,−1)
です.前 3 点と後 3 点で 9 つのペアが作れますが,このペアの中点はどれも x+y+z=0 上に乗ることが分かります.
(x+y+z=1 上の点と x+y+z=−1 上の点の中点をとって x+y+z=0 になる点を作り出そうとしている)
3 点は原点になるので,残りの 6 点を手元に書き込むと,良い感じに正六角形をなしていそうです.(これが正六角形なのかが怪しいですが,対称性を信じると,) 断面は一辺が 22 の正六角形なので,面積は 433 と分かります.
以上より,答えは 23+433=4113 で,求める値は 379 です.