公式解説は n の偶奇によって分けていないものの,漸化式の形から n の偶奇で分けて考えるのも自然な発想である.ここでは,そのような方針で作成した解答を記しておく.
なお,公式解説と本質的に大きく変わるわけではない.以下,公式解説の補題 1,2,3 とそれぞれ対応させながら記述している.
まず数列 {an} を奇数部分と偶数部分に分ける.a2n−1=sn,a2n=tn としよう.
補題 1. 2 以上の整数 n に対し,sn+1=sn+tn,tn+1=sn+3tn が成立する.(証明略)
補題 2. gcd(sn,sn+2)=gcd(sn,4tn),gcd(tn,tn+2)=gcd(tn,4sn)
証明. 補題 1 の漸化式を用いて,sn+2=2sn+4tn,tn+2=4sn+10tn を得る.あとは Euclid の互除法を用いればよい.
補題 3. 任意の正整数 n に対して,sn と tn をともに割り切る奇素数は存在しない.
証明.
gcd(sn+1,tn+1)=gcd(sn+tn,sn+3tn)=gcd(sn+tn,2tn)≤gcd(2sn+2tn,2tn)=gcd(2sn,2tn)
(途中の不等号は,単に大小関係だけではなく,一方が他方の約数であることも含意している.)
この計算から,ある奇素数 p について p∣gcd(sn+1,tn+1) が成り立てば p∣gcd(sn,tn) が成り立つ.gcd(s2,t2)=1 より,そのような奇素数 p は存在しない.
補題 2 と補題 3 から gcd(sn,sn+2),gcd(tn,tn+2) はともに 2 冪である.よって,以下 sn,tn が 2 で割り切れる最大の回数を考える.
そこで n=2∼6 について,補題 1 の漸化式を用いながら,sn,tn を 32 で割った余りを書き並べてみよう.
sntnn=213n=3410n=4142n=51620n=6412
(s6,t6) が (s2,t2) のちょうど 4 倍になっていることがわかる.このことから着想を得て,n=4k+2∼4k+6 について,sn,tn を 22k+5 で割った余りが次のように得られる.
sntnn=4k+2(8x+1)22k(8y+3)22kn=4k+3{8(x+y)+4}22k{8(x+3y)+10}22kn=4k+4(16x+14)22k(16y+2)22kn=4k+5{16(x+y)+16}22k{16(x+y)+20}22kn=4k+64×22k12×22k
この表を見れば,4k+2≤n≤4k+6 の範囲で gcd(sn,4tn) または gcd(tn,4sn) の最大値が gcd(s4k+5,4t4k+5)=22k+4 であるとわかる.
249<1015<250 より,2k+4=50 から k=23 .s97=a193 より求めるべき値は 193 である.