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OMC170

OMC170(E)

ユーザー解説 by AT_0105

たぶん皆が思いつくであろう座標計算でやってみます.

直交座標において

B(16,0),D(0,0),C(25,0),I(0,r)B(-16,0), D(0,0), C(25,0), I(0,r) とおく. ただし rr は正の実数とする.

ここで, IBC+ICB=12(ABC+ACB)<90\angle IBC+\angle ICB=\dfrac{1}{2}(\angle ABC+\angle ACB)\lt90^\circ であるため, r<20r\lt20 でなければならないことに留意しておく. ( rr が大きいとBIC\angle BIC9090^\circ 以下になってしまい図が成立しないようになる)

この設定のもと, BH=HIBH=HI となるような rr を求めていきたい.

BB を通り, 直線 BCBC ではない直線は実数 bb を用いて, x+by+16=0x+by+16=0 と表すことができる. 直線 ABAB と点 II との距離は rr であるため, br+161+b2=r\dfrac{|br+16|}{\sqrt{1+b^2}}=r を解いて b=r225632rb=\dfrac{r^2-256}{32r} であり, 直線 ABAB を表す式は x+r225632ry+16=0x+\dfrac{r^2-256}{32r}y+16=0 である.

同様にして, 直線 ACAC を表す式は x+625r250ry25=0x+\dfrac{625-r^2}{50r}y-25=0 である.

AA は直線 ABABと直線 ACAC の交点であるから, 点 AA の座標は (9r2400r2,800r400r2)(\dfrac{-9r^2}{400-r^2},\dfrac{800r}{400-r^2}) である. 点 HH は点 AA から直線 BCBC におろした垂線の足であるから, 点 HH の座標は (9r2400r2,0)(\dfrac{-9r^2}{400-r^2},0) である.

ここで, HIHI の長さを素直に求めて BH=HIBH=HI を満たす rr を求めようとしたのですが, 自分ではこの方程式を解けなかった. (ojamesi1357さんによると, BH2DH2=DI2BH^2-DH^2=DI^2 と変形してから解けばそこまで大変ではないらしい.)

そこで, 線分 BIBI の垂直二等分線と直線 BCBC の交点が HH になるような rr を求めるという方針を新たに考える. この方針は, 線分 BIBI の垂直二等分線と直線 BCBC の交点の座標は比較的単純に表せるので, なんとかなりそうという希望的観測のもと立てた. そんな感じだったと憶えている.

直線 BIBI の傾きは r16\dfrac{r}{16} であるから, その垂直二等分線の傾きは 16r-\dfrac{16}{r} である. これは, BIBI の中点 (8,r2)(-8,\dfrac{r}{2}) を通っているので, 直線 BCBC との交点の座標は (8+r232,0)(-8+\dfrac{r^2}{32},0) である.

これが, HH と一致するような rr9r2400r2=8+r232\dfrac{-9r^2}{400-r^2}=-8+\dfrac{r^2}{32} を満たすことが必要で, これを整理して, 0<r<200\lt r\lt 20 であることに注意すると, r=47224209r=\sqrt{472-24\sqrt{209}} に限られることがわかる.

さて, 今回求めたい EIAE\dfrac{EI}{AE} について, EIAE=DIAH=r800r400r2=12r2800=9+3209100\dfrac{EI}{AE}=\dfrac{DI}{AH}=\dfrac{r}{\frac{800r}{400-r^2}}=\dfrac{1}{2}-\dfrac{r^2}{800}=\dfrac{-9+3\sqrt{209}}{100} である. この値を zz とおく.

まず, (100z+9)2=1881(100z+9)^2=1881 であることから, z2+950z950=0z^2+\dfrac{9}{50}z-\dfrac{9}{50}=0 であることがわかる. また, zz は無理数であるから zz を解に持つ 11 次の有理数係数多項式は存在しないことがわかる. 以上より, 提出するべき値は 10002+9501000950=1000179\lfloor1000^2+\dfrac{9}{50}\cdot1000-\dfrac{9}{50}\rfloor=\mathbf{1000179} である.

余談: この問題における内接円の半径 47224209\sqrt{472-24\sqrt{209}} は実のところ 6112196\sqrt{11}-2\sqrt{19} に等しいのだが, 今回の問題ではこのことは用いないで済む.