本解では代数的に記述されている部分が多いので,補題の前までを組み合わせ的に考える方法を与える.
まず,カードに書かれてある数の集合 {1,2,…,2024}を,次の二つに分解する:
A={3,4,…,2023,2024},B={1,2}
このとき,どのi=0,1,2,3,4,5 に対しても,Aの中には mod6 で iであるような要素がちょうど 337 個存在することに注意する.
以降,記録された n 個の数字を並べて列 X=(x1,…,xn) を考え,xi∈A であるか xi∈B であるかによって,列X を (A,A,B,A,…,A) のような A,B の列に変換した列を Y とよぶ.
Y の中に A が k 個 (k=1,2,…,2024) 含まれている場合にSn≡i(mod6) となる場合の数を計算する.そのような Y を一つ取る.たとえば,Y=(B,B,…,B,A,A,…,A) のような列を考える.このとき, x1,…,xn−1 の数字が何であっても,最後の xn∈A でちょうど 337 個の数字が存在して, Sn≡i(mod6) が成り立つようにできる.よって,このときの場合の数は 2n−k⋅2024k⋅337=61⋅2n−k⋅2024n なので,その他の Y および k について足し上げることで
k=1∑n6nCk⋅2n−k⋅2024k
が,「Y の中に A が少なくとも一つ含まれるでかつ Sn≡i(mod6) となる場合の数」となる.これが i に依存しないことに注意すれば,残りの確率を Q(n,i),すなわち
P(n,i)=2024n1(k=1∑n6nCk⋅2n−k⋅2024k)+Q(n,i)
と書いたときに,
imaxP(n,i)−iminP(n,i)=imaxQ(n,i)−iminQ(n,i)
となる.そして,この Q(n,i) は要するに 「Y=(B,B,…,B,B) かつ Sn≡i(mod6) となる確率」なので,(x+x2)n の係数について考えることに帰着される.
この考え方において肝心なのは,A という対称性の高い集合を無理やり作り出す部分であり,これによって 対称性から外れてしまった(しかし要素数が少なくてシンプルな) 集合 B 上の問題へと帰着させることができる(参考:https://mathlog.info/articles/nNX6dXUeyb35vYurGP5l ).