S を問題の総和とする.また,以下では合同式の法は 3 であるとし,x10+k=xk,y10+k=yk となるように x11,y11,x12,y12,… を定める.
A={(1,3),(3,1),(1,1),(3,3),(2,2)},B={(2,1),(1,2),(2,3),(3,2)} とおく.(a,b)∈A であるとき,ay+ybmod3 を y=4,5,6 に対して計算すると,順に
- 1y+y3≡2,0,1
- 3y+y1≡1,2,0
- 1y+y1≡2,0,1
- 3y+y3≡1,2,0
- 2y+y2≡2,0,1
なので,いずれの場合も 0,1,2 がちょうど 1 回ずつ現れることがわかる.
Case 1. X=(x1,…,x10) について「(x1,x2),(x2,x3),…(x9,x10),(x10,x1) の中に A の要素が少なくとも一つ含まれている」ことを仮定する.その A の要素の一つを (xi,xi+1) とおく.このとき S の中の xiyi+yixi+1 を見ることで,yi を除く y1,y2,y3,…,y10 の値を 39 通りの中からどのように決めたとしても,ちょうど一つの yi∈{4,5,6} が存在して S≡0 にすることができる.
したがって,この仮定を満たす (x1,x2,…,x10) が N 個あるとするとき,条件を満たす列の組 (X,Y) が 39⋅N 個得られる.
Case 2. X=(x1,…,x10) について,(x1,x2),(x2,x3),…(x9,x10),(x10,x1)∈B である場合を考える.このような X は,ki∈{1,3} を用いて
(2,k2,2,k4,2,k6,2,k8,2,k10),(k1,2,k3,2,k5,2,k7,2,k9,2)
と表せるような 64 組のいずれかであることが分かるから,310−N=64 である.よって N=310−64 である.
X=(k1,2,k3,2,k5,2,k7,2,k9,2) の場合を考える.k1,k3,k5,k7,k9∈{1,3} なので
y2i−1k2i−1+k2i−1y2i+y2i2+2y2i+1≡y2i−1+k2i−1+y2i2+2y2i+1
が i=1,2,3,4,5 で成り立つ.したがって,
S≡i=1∑5(2y2i−1+y2i−1)+i=1∑5y2i2+i=1∑5k2i−1
となる.この式から S≡0 となるための y1,…,y10,k1,k3,…,k10 の条件を考える.
y=4,5,6 のとき 2y+y≡2,1,1 および x2≡1,1,0 である.したがって,S≡0 となる (y1,y2,…,y10,k1,…,k5) の個数を求めることは,次の場合の数を求めることに帰着する.
- {1,1,2},{0,1,1},{0,1} がそれぞれ 5 個ずつ,計 15 個の多重集合がある.これら 15 個から 要素を一つずつ選ぶ.選んだ要素の和が 3 の倍数になるような選び方はいくつあるか.
これは多項式 f(x)=(2x+x2)5(1+2x)5(1+x)5 の x3n (n=0,1,2,…) の係数の総和として求められ,ω=2−1+−3 とおくと 31k=0∑2f(ωk) に等しい.f(x)=(2x4+7x3+7x2+2x)5 より,
31x=1,ω,ω2∑(2x4+7x3+7x2+2x)5=31x=1,ω,ω2∑(7x3+7x2+4x)5=31⋅185+31x=ω,ω2∑(7x3+7x2+4x)5=6⋅184+31x=ω,ω2∑(−3x)5=6⋅184−34⋅(ω5+ω10)=6⋅184+81
x1,x2,…,x10 の役割は巡回的に対称なので,X=(2,k2,2,k4,2,k6,2,k8,2,k10) の場合も同様である.したがって Case 2. の場合は 12⋅184+162 組 の条件を満たす (X,Y) が得られる.
以上より,求める個数は
39⋅(310−64)+(12⋅184+162)=319+162=1162261629
解説YouTubeが存在しません.