(公式解説の補足)
周期を特性方程式の解α,βの位数で表す部分は,有限体上の行列を考えると楽である.
以下,xをFpの元とし,yをFp×の元とする.
Fp上の行列AnおよびBを
An=(an+2an+1an+1an),B=(x1y0)
により定めると,anの初期値及び漸化式は次のように言い換えられる:
A0=(x110),An+1=BAn.
A0,Bは正則行列なのでAnは常に正則行列である.
数列anのmod pでの周期は,任意のnに対してBkAn=Anが成り立つような最小の正整数kに等しい.
Anは正則なのでこれはBのGL2(Fp)における位数に等しいことがわかる.
Bの固有方程式t2−xt−y=0(これは数列anの特性方程式でもある)の解をα,βとする.y∈Fp×よりα,β∈Fp2×である.
α,β∈Fp×の場合:α=βならばBは
(α00β)
と対角化されるため,その位数はlcm(ord(α),ord(β))に等しい.α=βの場合,Bはスカラー行列ではないことに注意すると,BのJordan標準形は
(α01α)
となり,その位数はp⋅ord(α)である.
α,β∈Fp2×∖Fp×の場合,αとβはFp上共役である.α=βなのでBは以下のように対角化される:
(α00β).
よってBの位数はlcm(ord(α),ord(β))=ord(α)である.