特性方程式は
t2−xt−y=0
である.x,y を固定したとき,これの解を α,β とすると,以下が成り立つ:
an=⎩⎪⎨⎪⎧β−αβn−αnnαn−1(α=β)(α=β)
以下,特性方程式を Fp 係数として考え,以下の三つのパターンに場合分けして考える.ただし,Fp は位数 p の有限体である.
- (1) α=βであるような場合 (p−1)通り
- (2) α=βかつ解がFp上に存在する場合 2(p−1)(p−2)通り
- (3) 解 α,β が Fp 上に存在しない場合.このとき解はFp2∖Fpの元である.2p(p−1)通り
(1)について
このとき,一般項は
an=nαn−1
である.そして, kを周期としたとき
nαn−1≡(n+k)αn+k−1
十分大きな整数mについて,n=mpとしたときに等号が成立する.
mpαmp−10≡(mp+k)αmp+k−1≡kαmp+k−1
よって,kがpの倍数であることが必要である.さらに,n=mp+1の場合について考察すると
(mp+1)αmpαmp≡(mp+1+k)αmp+k≡αmp+k
よって,αk=1であることが必要である.
よって,周期となるためには,pとαの位数で両方割り切れることが必要である.逆にこの場合an+k≡an∀n∈Nなので周期としての条件を満たしている.よって,f(x,y)はpとord(α)の最小公倍数である.
ここで,αの位数はp−1の約数となる.これはpとは互いに素なのでf(x,y)=p⋅ord(α)である.さらに,Fpの乗法群はZ/(p−1)Zに同型であることに気をつけると,
位数がdであるようなα∈Fp×の個数はトーシェント関数を使ってφ(d)と書ける.
よって,(1)の範囲での総和は
d∣(p−1)∑dpφ(d)
である.
(2)について
このとき,一般項は
an=β−αβn−αn
である.
さらに,
(α,β);1≤α<β≤p−1
のペアがそれぞれ1つずつ登場するので,これらについての総和を求める.
周期がkだとした場合,ある整数mが存在して,
am(p−1)≡am(p−1)+k(modp)
であるため,
βm(p−1)−αm(p−1)=βm(p−1)+k−αm(p−1)+k
である.ここで,フェルマーの小定理より,
0=βk−αk
さらに,
am(p−1)+1≡am(p−1)+k+1(modp)
であるため,
βm(p−1)+1−αm(p−1)+1=βm(p−1)+k+1−αm(p−1)+k+1
であるが,
β−α=βk+1−αk+1
が必要だが,
βk+1−αk+1=βk+1−α⋅βk=βk(β−α)
である.よって,kが周期であるためには
αk≡βk≡1(modp)
が必要である.逆にこのときに周期となる.
よって,
f(x,y)=lcm(ord(α),ord(β))
である.
1≤α,β≤p−1の範囲内でのlcm(ord(α),ord(β))の総和は
d1∣(p−1)∑d2∣(p−1)∑φ(d1)φ(d2)lcm(d1,d2)
である.さらに,1≤α=β≤p−1の範囲内でのlcm(ord(α),ord(β))の総和は
d∣(p−1)∑dφ(d)
である.
よって,(2)の場合の答えの総和は
21d1∣(p−1)∑d2∣(p−1)∑φ(d1)φ(d2)lcm(d1,d2)−21d∣(p−1)∑dφ(d)
である.
(3)について
このときも(2)と同様に一般項は
an=β−αβn−αn
である.ただし,α,βはFp2∖Fpの範囲内を動く.ただし,αとβを入れ替えているものは同一視しているため,該当の(x,y)の組み合わせは2p(p−1)通りである.
(2)と同様にすると,
f(x,y)=lcm(ord(α),ord(β))
だが,このときのordとは,Fp2×における位数である.
さらにこのとき,α,βはFp2の元の中で共役元の関係になっている.よって位数は等しい.
つまりord(α)=ord(β)ということである.なので,結局周期の総和は
21α∈Fp2∖Fp∑ord(α)
ここで,実はFp2×は群Z/(p2−1)Zに同型であることに注意.
さらにこのとき,Z/(p2−1)Zの元の中で(p+1)の倍数であるようなもの(p−1)個がFpの元に対応している.
よって,(3)についての総和は
21d∣(p2−1)∑dφ(d)−21d∣(p−1)∑dφ(d)
である.
結局合計すると,最終的な答えは
(p−1)d∣(p−1)∑dφ(d)+21d∣(p2−1)∑dφ(d)+21d1∣(p−1)∑d2∣(p−1)∑φ(d1)φ(d2)lcm(d1,d2)
となる.この値をp−1やp2−1の約数全てについて値を求めるのは人力では大変である.
便宜上以下のように関数F(n),G(n)を定める.
F(n):=d∣n∑dφ(d);G(n):=d1∣n∑d2∣n∑φ(d1)φ(d2)lcm(d1,d2)
このとき,求めるべき答えは
(p−1)F(p−1)+21F(p2−1)+21G(p−1)
つまり,p=2017であるため,
2016⋅F(2016)+21F(2016⋅2018)+21G(2016)
実はF(n),G(n)は乗法的関数である.つまり,n,mが互いに素な正の整数とした場合,F(nm)=F(n)F(m),G(nm)=G(n)G(m)となるという性質がある.
この性質を使うことで,求めるべき答えは
2016⋅F(25)F(32)F(7)+21F(26)F(32)F(7)F(1009)+21G(25)G(32)G(7)
であるとわかる.それぞれについて答えを求める.
F(7)F(1009)F(32)F(25)F(26)G(7)G(32)G(25)========1⋅φ(1)+7⋅φ(7)1⋅φ(1)+1009⋅φ(1009)1⋅φ(1)+3⋅φ(3)+9⋅φ(9)1⋅1+2⋅1+4⋅2+⋯+32⋅161⋅1+2⋅1+4⋅2+⋯+64⋅321⋅1+(72−1)⋅71⋅1+(32−1)⋅3+(34−32)⋅91⋅1+(22−1)⋅2+⋯+(210−28)⋅25======1⋅1+7⋅61⋅1+1009⋅10081+6+541+2(1+4+⋯+44)1+2(1+4+⋯+45)1+6⋅(1+8+⋯+84)========43101707361683273133767328087
よって答えは
2016⋅683⋅61⋅43+21⋅(2731⋅61⋅43⋅1017073+28087⋅673⋅337)=3611682144+21⋅(7285713950149+6370159687)=3649653737062
解説YouTubeが存在しません.