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矢上杯2023

矢上杯2023(E)

ユーザー解説 by ykymst

[追記] 問題文が修正されました. 現在公開されている問題は, 公式解説と整合しています.

元の問題文 実数列 {Fn}\left\{F_{n}\right\} は以下の漸化式をみたすものとします: F1=F2=1,Fn+2=Fn+1+Fn(n1). F_{1}=F_{2}=1, \quad F_{n+2}=F_{n+1}+F_{n} \quad (n \geq 1). いま, 正整数 pqp \leq q に対し, Uq={1,2,,q}U_{q}=\{1,2, \ldots, q\} とし, UqU_{q} を空でない pp 個の集合に分割する方法(分割後の集合の順序は区別しない)であって,以下の条件をみたすものの個数を f(p,q)f(p, q) とおきます:

  • 分割後の pp 個の集合を S1,S2,SpS_{1}, S_{2}, \ldots S_{p} としたとき, kS1Fk=kS2Fk==kSpFk. \sum_{k \in S_{1}} F_{k}=\sum_{k \in S_{2}} F_{k}=\cdots=\sum_{k \in S_{p}} F_{k}.

2pq1002 \leq p \leq q \leq 100 をみたす正整数の組 (p,q)(p, q) すべてに対し f(p,q)f(p, q) を求め, それらの総和を解答してください.

集合の分割について

pp 個の集合 S1,S2,SpS_{1}, S_{2}, \ldots S_{p} が以下の条件をみたすとき, 集合 UqU_{q}分割 であるといいます:

  • 1i<jp1 \leq i \lt j \leq p ならば SiSj=S_{i} \cap S_{j}=\varnothing.
  • S1S2Sp=UqS_{1} \cup S_{2} \cup \cdots \cup S_{p}=U_{q}


【公式解説誤りの指摘】

UqU_{q} を分割する方法は, 各要素が S1,S2,,SpS_{1}, S_{2}, \ldots , S_{p} のいずれに属するかで区別される (分割後の集合の順序は区別しない). そのため, F1=F2F_{1}=F_{2} であっても, 1S1,2S21 \in S_{1}, 2 \in S_{2}1S2,2S11 \in S_{2}, 2 \in S_{1} を区別して計上される.

公式解説では, 誤ってこれらを区別していないため, q=5,8,11,q=5, 8, 11, \ldots のときの f(p,q)f(p, q) の値を本来の 12\frac{1}{2} 倍として算出している.

公式解説の該当箇所 q=2,3,5q=2,3,5 の分割の方法がいずれも 1 種類として数えられることに注意すれば, f(2,q)={1(q=2,3,5)2q31(q=6,9,12,)2q231(q=8,11,14,) f(2,q)=\begin{cases} 1 & (q=2,3,5) \\ 2^{\frac{q}{3}-1} & (q=6, 9, 12, \ldots) \\ 2^{\frac{q-2}{3}-1} & (q=8, 11, 14, \ldots) \end{cases} となる. 以上より, 求める値は以下のように計算できる: 2pq100f(p,q)=3+(2+22++231)+(2+22++232)=12884901887. \sum_{2 \leq p \leq q \leq 100} f(p, q)=3+\left(2+2^{2}+\cdots+2^{31}\right)+\left(2+2^{2}+\cdots+2^{32}\right)=\mathbf{12884901887}.

修正後 f(2,q)={2q31(q=3,6,9,)2q23(q=2,5,8,) f(2,q)=\begin{cases} 2^{\frac{q}{3}-1} & (q=3, 6, 9, \ldots) \\ 2^{\frac{q-2}{3}} & (q=2, 5, 8, \ldots) \end{cases} となる. 以上より, 求める値は以下のように計算できる: 2pq100f(p,q)=2(20+21++232)=2(2331)=17179869182. \sum_{2 \leq p \leq q \leq 100} f(p, q)=2\left(2^{0}+2^{1}+\cdots+2^{32}\right)=2\left(2^{33}-1\right)=\mathbf{17179869182}.