角の二等分線の性質より
AB=101x,AC=313xBD=101y,CD=313y
であるような正の実数 x,y がある.条件から 101x,313x が整数なので 313x−303x=10x も整数で,101x−10x⋅10=x も整数である.同様に y も整数である.また,∠A の二等分線の長さは AB⋅AC−BD⋅BC で与えられるので
d2=101x⋅313x−101y⋅313y=101⋅313(x−y)(x+y)
となる.101,313 は素数なので,d は 101⋅313 の倍数である.正の整数 n によって d=101⋅313n とおくと
101⋅313n2=(x−y)(x+y)
となる.また,三角形 ABC の三角不等式より
313x<101x+414y,414y<101x+313x
なので y<x かつ 212x<414y となる.よって,次の集合 Sn の要素が 4 個であるような n を求めればよい.
Sn={(x,y)∈N×N∣101⋅313⋅n2=(x−y)(x+y),106x<207y}
補題. 正の整数からなる集合 Tn を
Tn={k∈N∣k は 101⋅313⋅n2の正の約数,k<101n,k≡k101⋅313⋅n2(mod2)}
によって定めると,Sn から Tn への全単射 (一対一対応) が存在する.特に ∣Sn∣=∣Tn∣ である.
証明
a=x+y,b=x−y (2x=a+b, 2y=a−b) とおくと,(x,y)∈Sn に関する条件は
101⋅313⋅n2=ab,313b<101a
となる.この二つの式から 1012⋅313⋅n2=101ab>313b2 を得るので,101n>b である.さらに,a,b の偶奇は一致するので b≡a=b101⋅313⋅n2(mod2) である.以上より,
Sn∋(x,y)↦b=x−y∈Tn
という写像が得られ,これは全単射を定める.なお,逆写像は
Tn∋k↦(21(k101⋅313⋅n2+k),21(k101⋅313⋅n2−k))∈Sn
である.
これより,∣Tn∣=4 であるような n の条件を調べればよい.n が小さい範囲では
∣T1∣∣T2∣∣T3∣∣T4∣=∣{1}∣=1,=∣{2}∣=1,=∣{1,3,9,101}∣=4,=∣{2,4,8,202}∣=4
なので n=3,4 が適する.以降は n≧5 で考える.
Case 1. n が 5 以上の奇数であるとき
このとき,すべての n で 1,101,313,n∈Tn である(313<101n に注意).n が素数でないと仮定すると,これら 4 つの要素は相異なる.これに加え, n の任意の素因数 p に対して p,101p∈Tn だから,∣Tn∣=4 による重複を考えることで
(p,n)=(101,1012),(313,101⋅313) のいずれかである必要がある.しかし,いずれのパターンも 313p∈Tn かつ 313p∈{1,101,313,n} となるため不適である.
よって 奇数 n>5 が素数でないときは常に ∣Tn∣≧5 となる.一方で n が奇素数のとき,いくつかの初等的な不等式を解くことで ∣Tn∣ は以下のように決定される.
- 5≦n≦97 のときは Tn={1,101,313,n,n2}.
- n=101,313 のときは Tn={1,101,313}.
- 103≦n≦311 のときは Tn={1,101,313,n}.
- 317≦n のときは Tn={1,101,313,n,101⋅313}
これより,
∣Tn∣=⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧345(n=101,313)(103≦n≦311)(5≦n≦97,317≦n)
であるから,条件に該当するのは 103 以上 311 以下の素数であり,素数表から 38 個あるとわかる.
Case 2. n が 6 以上の偶数であるとき
もし n が 4 の倍数ならば 2,4,8,202,404∈Tn なので不適 (n≧8 から 626<101n に注意).よって奇数 r によって n=2r と書ける.T2r の要素は必ず偶数になるのでそれを 2k とおくと, k は 101⋅313⋅r2 の正の約数で k<101r を満たす.よって,写像
T2r∋2k↦k∈Tr
は全単射なので, Case 1 の議論および ∣T3∣=4 から,r=3 または 103≦r≦311 を満たす素数 r のみが ∣T2r∣=4 をみたす.
以上より,条件を満たす d は
d=101⋅313⋅n,n∈{3,4,6}∪{r,2r∣rは素数で103≦r≦311}
となるので,求める個数は 3+38×2=79 個.
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