高校範囲からは逸脱しますが,問題の形式から微分を想起する方向けです.
ただ,普通に微分しようとすると,y,x3 あたりが計算を厄介にしそうなので,少し工夫をしたいところです(もしかすると工夫せず求まるかもしれませんが,あまり考えていません).
まず,与えられた条件を次のように書き換える.
1+xy1+1+yz1+1+zx31=1
ここで s=xy,t=yz,u=zx3 とおけば,与条件は対称的な式となる.
一方,最大値を求めるべき変数 z についても考える必要がある.s,t,u の定義の式から x,y を消去すると s6t3u4=z1 を得る.決してきれいな式ではないが,要は s6t3u4 の最小値を求めればよいことになる(微分しやすいという点では,そう悪くない式である).
以上の考察から元の問題は,次のような問いに変化した.
- 条件 1+s1+1+t1+1+u1=1 のもとで,s6t3u4 の最小値を求めよ.
このようにして,Lagrange の未定乗数法を使おうという発想に至る.
f(s,t,u,λ)=s6t3u4−λ(1+s1+1+t1+1+u1−1)
と置いて,こつこつ偏微分していこう.
⎩⎪⎪⎪⎪⎪⎪⎨⎪⎪⎪⎪⎪⎪⎧∂s∂f=6s5t3u4+λ(1+s)21=0∂t∂f=3s6t2u4+λ(1+t)21=0∂u∂f=4s6t3u3+λ(1+u)21=0
偏微分後の第 1 項がいずれも s6t3u4 由来であることに注意すると,次のように式変形できる:
6(1+s)2s=3(1+t)2t=4(1+u)2u
よって結局は,次の連立方程式を解けばよい.
⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧1+s1+1+t1+1+u1=16(1+s)2s=3(1+t)2t=4(1+u)2u
この方程式は一見難しそうに見えるが,次の式変形に気づけば,計算は複雑ではない.
(1+s)2s=1+s1⋅1+ss=1+s1(1−1+s1)
改めて 1+s1=p,1+t1=q,1+u1=r と変数を置き直す.p+q+r=1 も用いることで,先ほどの連立方程式は次のように書き直される:
⎩⎪⎨⎪⎧p+q+r=16p(q+r)=3q(r+p)=4r(p+q)
この第二式より,ある定数 k を用いて pq+qr=3k,qr+rp=4k,rp+pq=6k と置ける.これより簡単に pq=25k,qr=21k,rp=27k を得る.積を取って pqr の値を求めれば,適当なわり算によってp=270k,q=1470k,r=1070k.
あとは,p+q+r=1 より k が求まり,従って p,q,r が求まり,さらには s,t,u も求まる.
なお,Lagrange の未定乗数法は極値(最大値)の存在を保証するものではないので,厳密にはその点には注意が必要です(OMCのルール上,そのようなことは考える必要がないのですが…).詳しくは適当な参考書等で確認してください.
類題として,OMC112(C),OMC132(E) を挙げておきます.