2 つの複素数 s,t であって
s+t=2b,s2+t2=2a
を満たすものを考えると,
st=2(s+t)2−(s2+t2)=2b2−a
が成り立つので,問題にある方程式は
x4+(s+t)x3+(s+t+st)x2+(s2+t2)x+st=0
と表すことができ,これを因数分解すると
(x2+sx+t)(x2+tx+s)=0(1)
となる.ここで 2 つの 2 次式
f(x)=x2+sx+t,g(x)=x2+tx+s
を定め,f(x),g(x) の判別式をそれぞれ Df,Dg とおこう.
∣b∣>a のときは s,t がともに虚数であることが確かめられるので,f(x),g(x) はいずれも実根をたかだか 1 個しかもたず,不適である.また,∣b∣=a のときは s=t なので f(x) と g(x) は同一の式となり,この場合も不適である.以後 ∣b∣<a とする.このとき s,t は相異なる実数である.
方程式 (1) がちょうど 3 つの実数解をもつには以下 2 つのうちどちらかを満たさなければならない.
- 条件 1. f(x),g(x) は共通の実根をもつ.
- 条件 2. Df,Dg のうち一方は 0 である.
f(x)=g(x) なる実数 x は x=1 に限るので,条件 1.を満たすには s+t=−1,つまり b=−21 が必要である.条件 2.を満たす場合,変数 s,t の対称性から Df=0 の場合のみを考えればよく,このとき
Df=s2−4t=−t2−4t+2a=0
であることと ∣t∣≤s2+t2=2a から t=2a+4−2 が得られる.したがって α=2a+4−2 とおき,α2+β2=2a なる正の実数 β を定めれば,条件 2.を満たすには b=2α±β が必要であることがわかる.
これらのことから,f(x)g(x) が実根を 3 つもつような b の値となり得るのは
−21,2α+β,2α−β
の 3 通りである.したがってこのような b が 3 つ存在するならばその積は
−21×2α+β×2α−β=−8α2−β2=−4α2−a=−4a+8−42a+4=−4(a+2−22)2−2
と表される.これが −1200 となるとき,
(a+2−22)2=4802
から
a+2=22+492=512
が得られ,ゆえに
a=512×2−2=5200
である.逆に a=5200 が条件を満たすことは,次のように確かめられる.
a=5200 のときは α=100,β=20 であり,b=−21,40,60 のそれぞれの場合で f(x)g(x) を調べると以下のようになり,いずれの場合も確かに実根を 3 つもつことがわかる.
- b=−21 のときは
f(x)g(x)=(x−1)2(x2+x−210399)
- b=40 のときは
f(x)g(x)=(x−10)2(x2+100x−20)
- b=60 のときは
f(x)g(x)=(x+10)2(x2+100x+20)
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