ここでは外接円を用いない解法を紹介します.特に補題2は覚えておくと時々使えて便利です.
次の2つの補題を用いる.
補題1: ∠AIO=90∘ のとき AB+AC=2BC
補題2: AB⋅AC−BD⋅CD=AD2
補題1と角の二等分線の定理より
AB+AC=20, AB:AC=7:3⟹AB=14, AC=6
したがって補題2より AD2=14⋅6−7⋅3=63 を得る.
補題1の証明:
辺 AB,AC の中点をそれぞれ M,N とすると5点 A,O,I,M,N は同一円周(線分 AO を直径とする円)上にある.
したがって内接円と辺 AB,AC の接点をそれぞれ E,F とすれば,
∠IME=∠INF, IE=IF⟹△IME≡△INF⟹ME=NF
が成り立つので次の計算により所望の式を得る.
AB+AC−BC=AE+AF=(AM−ME)+(AN+NF)=21(AB+AC)
補題2の証明:
余弦定理および AB⋅CD=AC⋅BD を用いて
2AB⋅ADAB2+AD2−BD2=2AC⋅ADAC2+AD2−CD2⟹AC(AB2+AD2−BD2)=AB(AC2+AD2−CD2)⟹(AB−AC)(AB⋅AC−AD2)=AC⋅BD2−AB⋅CD2=AB⋅BD⋅CD−AC⋅BD⋅CD=(AB−AC)(BD⋅CD)
よって AB⋅AC−BD⋅CD=AD2 が示された.