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OMC102

OMC102(F)

ユーザー解説 by KitayamaYuji

 ここでは, この問題に関連する構図を紹介することに重きをおいて解説をします(解答の方針はほぼ公式解説と変わりません). まず, 言葉を二つ定義した上で, 一般的に成立する定理(構図)を三つ列挙します.


定義1. 三角形 ABCABCAA に対する中線を mm とする. このとき, BAC\angle BAC の二等分線に関して mm と対称な直線を, 三角形 ABCABCAA に対する疑似中線またはsymmedianと呼ぶ.

定義2. 四角形 ABCDABCD調和四角形であるとは, 円に内接し, さらに AB×CD=BC×DAAB\times CD = BC\times DA を満たすことを言う.

定理1. 三角形 ABCABC の直線 BCBC 上に 22P,QP, Q があり, 三角形 ABCABC の外接円と三角形 APQAPQ の外接円が接するとき, 直線 APAP と直線 AQAQBAC\angle BAC の二等分線に関して対称である.

定理2. 三角形 ABCABC の外接円と三角形 ABCABCAA に対するsymmedianの交点を PP とすると, 四角形 ABPCABPC は調和四角形である.

定理3. 調和四角形 ABCDABCD について, その外接円の中心を OO, 線分 BDBD の中点を MM とすると, 44A,C,M,OA, C, M, O は同一円周上にある.


定理1,2,3の証明は省略して, ここでは先に進みたいと思います. まず, 定理1より, 直線 CQCQ は三角形 ABCABCCC に対するsymmedianであることが分かります. 従って, 定理2より四角形 AQBCAQBC は調和四角形です. よって, 三角形 ABCABC の外心を OO とすれば, 定理3より 44C,Q,M,OC, Q, M, O は同一円周上にあります. 以上より, Ptolemyの定理から, 定義2に気をつけることで CQ=AC×BQ+BC×AQAB=2×AC×BQAB=5CQ = \frac{AC\times BQ + BC\times AQ}{AB} = \frac{2\times AC\times BQ}{AB} = 5 が分かります. さらに, 直線 CMCMΩ\Omega の交点を RR とすると, 定義1から QQRR は線分 ABAB の垂直二等分線に関して対称なので, 方べきの定理より CM×QM=CM×RM=AM×BM=32425CM\times QM = CM\times RM = AM\times BM = \frac{324}{25} が分かります. そして, 正弦定理より sinCAQ=sinACB×CQAB=59\sin\angle CAQ = \sin\angle ACB \times \frac{CQ}{AB} = \frac{5}{9} であるので, sinCMQ=sinCOQ=201481\sin\angle CMQ = \sin\angle COQ = \frac{20\sqrt{14}}{81} が分かります. よって求める面積は 12×CM×QM×sinCMQ=8145\frac{1}{2}\times CM\times QM\times \sin\angle CMQ = \frac{8\sqrt{14}}{5} です.

 さて, 最後に, 本問では使わなかった調和四角形やsymmedianにまつわる, 定理2,3以外の主な定理を紹介して終わりたいと思います.


定理4. 三角形 ABCABCAA に対するsymmedianと三角形 ABCABC の外接円の B,CB, C での接線は一点で交わる.

定理5. 調和四角形 ABCDABCD について, 弧 BCDBCD の中点を MM とすると, DAB\angle DAB の外角の二等分線, 直線 BDBD, 直線 CMCM は一点で交わる.

定理6. 三角形 ABCABCAA に対するsymmedianと辺 BCBC の交点を PP とすると BP:CP=AB2:AC2BP : CP = AB^2 : AC^2.