正整数 n に対し n 次の置換 σ であって σ(i)=i (i=1,…,n) をみたすものを n 次の良い置換 と呼ぶことにする.n 次の良い置換の個数(モンモール数)を an とすれば,簡単な議論によって N=2048!×(a2047+a2048) が得られる.
ここで an の一般項は次の形に表されることが知られている.
an=k=0∑nk!(−1)kn!
漸化式による証明
n 次の良い置換 σ を考える.
- σ(σ(n))=n であるとき:σ は {1,…,σ(n)−1,σ(n)+1,…,n−1} の置換と自然に見なすことができ,それは n−2 次の良い置換に自然に対応する.
- σ(σ(n))=n であるとき:次で定義される n−1 次の置換 τ は良い置換である.
τ(i)={σ(i)σ(n)(i=σ−1(n))(i=σ−1(n))
逆に n−2,n−1 次の良い置換に対し,対応する n 次の良い置換は n−1 個存在する.よって an は次の漸化式をみたす:
a1=0,a2=1,an+2=(n+1)(an+1+an)(n≥1)
このとき任意の n≥1 について
an+1−(n+1)an=−(an−nan−1)=⋯=(−1)n−1(a2−2a1)=(−1)n+1
が成り立ち,この両辺を (n+1)! で割った式を考えれば求める式は容易に得られる.
包除原理による証明
S:={1,…,n} の部分集合 T に対して,n 次の置換 σ であって任意の i∈T に対し σ(i)=i をみたすものは (n−∣T∣)! 個存在する.また ∣T∣=k (0≤k≤n) なる T⊂S は nCk 個存在するため,包除原理より
an=T⊂S∑(−1)∣T∣(n−∣T∣)!=k=0∑n(−1)knCk(n−k)!=k=0∑nk!(−1)kn!.
これより次が得られる.
N=2048!×(2049×k=0∑2047k!(−1)k×2047!+1)=2048!×⎝⎜⎜⎜⎜⎛6の倍数2049×2046×(2047×k=0∑2045k!(−1)k×2045!+1)+1⎠⎟⎟⎟⎟⎞
よって a,b は 2048! が 2,3 で割り切れる回数とそれぞれ一致することがわかる.それはLegendreの公式より a=2047,b=1019 と計算でき,特に解答すべき値は 2085893.
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