乗法群の構造を調べなくても,LTEの補題をメインに用いて最大の値を調べられることを見る.
f(n)=(n2024−1)n11 とおき,素数 p に対して
ep=n∈Zminvp(f(n))
とおく(ただし vp(0)=∞ とみなす).すべての整数 n で mf(n) が整数であることは vp(m)≦ep がすべての素数 p で成り立つことと同値であるから,
p:prime∏pep
が答えになると予想される(この時点では無限積に見えるが,後でほとんどの p でep=0 とわかる).
2024 を p−1 で割った余りを rp とするとき,pで割れない整数 n について n2024≡nrp であるから,もし rp=0 なら nmodp として原始根を取ることで n2024≡1 かつ n≡0(modp) であるようにできるので ep=0 である.逆に rp=0 の場合,すべての n で n2024≡1(modp) または n11≡0 だから,ep≧1である.
よって,rp=0 であるような部分のみを考え P={2,3,5,23,47,89,1013} とおくことで
M=p∈P∏pep
が答えである.そこで,ep (p∈P) を求める.
n が p の倍数のとき vp(f(n))≥11 なので ep≤11.次に p=2 とし, n=p+1 のときを考えると,
vp(f(p+1))=vp((p+1)2024−1)=vp(p)+vp(2024)={12(p=23)(p=23)
を得るので,p=2,23 に対して ep≤1, したがって ep=1 を得る.さらに p=23 のときは,任意の 23で割れない n に対して,2024=22⋅92 より
v23(n2024−1)=v23(n22−1)+v23(92)≥1+1=2
なので e23≥2, したがって e23=2 を得る.
最後に e2 については,p=2 でのLTEの補題を用いる.その主張は,任意の奇数 x,y と 偶数 N について,
v2(xN−yN)=v2(x2−y2)+v2(N)−1
が成り立つというものである.これにより,奇数 n に対して
v2(f(n))=v2(n2024−1)=v2(n2−1)+v2(2024)−1=v2(n2−1)+2
となるが,一般に奇数 n に対して n2≡1(mod8) なので v2(f(n))≥5 であり,n=3 とすれば v2(32−1)=3 だから 等号は実現する.よって e2=5 である.
よって M=25⋅232⋅3⋅5⋅47⋅89⋅1013 が解答するべき値.