まず,以下を示す.
補題 1. 正の整数 x,y が xy=yx を満たすならば,
(x,y)=(k,k),(2,4),(4,2) である (k は正の整数).
証明
2≤x<y であるような解が x=2,y=4 に限ることを示せばよい.有理数 a>1によって y=ax と置くと (xa)x=(ax)xとなるので,これを解くと x=aa−11 を得る.既約分数表示 a=qp を取ると
x=aa−11=(qp)p−qq
であり,これが整数となる必要がある.特に xp−q=qqpq が整数だから,qq=1の必要がある.よって q=1で,p=2 なら x=2,y=px=4が得られる.p≥3 の場合,p=xp−1≥2p−1 という不等式に反するので解なし.よって x=2,y=4 に限られ,y<x の場合も考えることで補題の主張を得る.(証明終)
条件式で X,Y を入れ替えることで,f(X)f(Y)=f(Y)f(X) を得る.よって任意の X,Y に対して,組 (f(X),f(Y)) は次の集合 S に属す.
S:={(2,4),(4,2),(1,1),(2,2),…,(2024,2024)}
U={1,2,…,2024}とおき,(f(U),f(∅)) で場合分けを行う.
(f(U),f(∅))=(k,k) の場合,すべての X⊂U で f(X)=k である.実際,任意のXに対してYを補集合 X∖Uとすれば
f(X)f(Y)=f(U)f(∅)=kk
を得るが,kk=16 に注意すれば, (f(X),f(Y))=(k,k) とならねばならない.そして任意の X⊂U に対して f(X)=k である関数 f は明らかに条件を満たす.この場合,k の 選択に応じて 2024 個の関数 f を得る.
(f(U),f(∅))=(4,2) の場合を考える ((2,4) の場合も同様に議論できる).この場合,次が成り立つ.
補題 2. f(U)=4,f(∅)=2 を仮定する.このとき,任意の X⊂Uに対して f(X)∈{2,4} であり,次が成り立つ:
- f(X)=2 ならば f(U−X)=4.
- f(X)=f(Y) ならば f(X)=f(Y)=f(X∪Y)=f(X∩Y)
証明
f(X)f(U−X)=f(U)f(∅)=16 であり,(f(X),f(U−X))∈S に注意すれば f(X)∈2,4 および主張1. が従う. 主張2. は f(X)=f(Y)=2 の場合は
f(X∪Y)f(X∩Y)=22=4
となるような (f(X∪Y),f(X∩Y))∈S が (2,2) に限られることから従う.f(X)=f(Y)=4 の場合も同様である.
主張2. より f(X)=f(Y)=4 ならば f(X∩Y)=4 なので,特に X∩Y=∅ である.X,Y が 1 点集合のときを考えれば,これは f({i})=4 であるような i が高々 1 個であることを意味する.
Case 1. すべての i で f({i})=2 である場合.
補題2. の主張2. を繰り返し用いることで f(U)=f({1}∪⋯∪{2024})=2 が得られるので矛盾.
Case 2. ある一つの i で f({i})=4 である場合.
i=1 の場合を考える (他の i でも同様). 2≤j≤2024 を満たす整数 j について f({j})=2 なので,補題2. の主張1, 2. より {2,3,…,2024}=U∖{1} の任意の部分集合 X に対して f(X)=2, f(U−X)=4 が従う.U−X は 1 を含む U の部分集合全体を走ることから,1∈Y ならば f(Y)=4 となる.これによりすべての部分集合に対する f の値が定まる.
このように構成された関数が条件を満たすことの確認.
逆に,ある i∈{1,2,…,2024} によって
f(X)={2(i∈/X)4(i∈X)
と与えられる関数 f が問題の条件を満たすことを示す.実際,任意の X,Y⊂U に対し,
- i∈/X,Y ならば, i∈/X∪Y,X∩Y だから f(X)f(Y)=22=f(X∪Y)f(X∩Y),
- i∈X,Y ならば, i∈X∪Y,X∩Yだから f(X)f(Y)=44=f(X∪Y)f(X∩Y),
- i∈X,i∈/Y ならば(逆の場合も同様), i∈X∪Y, i∈/X∩Yだから f(X)f(Y)=42=f(X∪Y)f(X∩Y).
よって 1≤i≤2024 に対し,問題の条件と (f(U),f(∅))=(4,2) を満たす関数が一つ定まるので,(2,4)の場合も考慮して 4048 個の関数 f を得る.
以上より,求める個数は 2024+4048=6072 個.
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