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NF杯2024

NF杯2024(K)

 まず,以下を示す.

補題 1. 正の整数 x,yx, yxy=yxx^y = y^x を満たすならば, (x,y)=(k,k),(2,4),(4,2)(x,y) = (k,k), (2,4), (4,2) である (k(k は正の整数))

証明  2x<y2\leq x \lt y であるような解が x=2,y=4x = 2, y=4 に限ることを示せばよい.有理数 a>1a\gt 1によって y=axy = ax と置くと (xa)x=(ax)x(x^{a})^{x} = (ax)^{x}となるので,これを解くと x=a1a1x = a^{\frac{1}{a-1}} を得る.既約分数表示 a=pqa = \frac{p}{q} を取ると x=a1a1=(pq)qpqx = a^{\frac{1}{a-1}} = \left(\dfrac{p}{q} \right)^{\frac{q}{p-q}} であり,これが整数となる必要がある.特に xpq=pqqqx^{p-q} = \frac{p^q}{q^q} が整数だから,qq=1q^q = 1の必要がある.よって q=1q=1で,p=2p=2 なら x=2,y=px=4x=2, y=px = 4が得られる.p3p\geq 3 の場合,p=xp12p1p = x^{p-1} \geq 2^{p-1} という不等式に反するので解なし.よって x=2,y=4x=2, y=4 に限られ,y<xy\lt x の場合も考えることで補題の主張を得る.(証明終)

 条件式で X,YX, Y を入れ替えることで,f(X)f(Y)=f(Y)f(X)f(X)^{f(Y)} = f(Y)^{f(X)} を得る.よって任意の X,YX, Y に対して,組 (f(X),f(Y))(f(X), f(Y)) は次の集合 SS に属す.

S{(2,4),(4,2),(1,1),(2,2),,(2024,2024)} S \coloneqq \{ (2,4), (4,2), (1,1), (2,2), \dots , (2024, 2024) \}

U={1,2,,2024}U = \{ 1,2,\dots, 2024 \}とおき,(f(U),f())(f(U), f(\varnothing)) で場合分けを行う.

 (f(U),f())=(k,k)(f(U), f(\varnothing)) = (k,k) の場合,すべての XUX\subset Uf(X)=kf(X) = k である.実際,任意のXXに対してYYを補集合 XUX \setminus{U} とすれば f(X)f(Y)=f(U)f()=kkf(X)^{f(Y)} = f(U)^{f(\varnothing)} = k^{k} を得るが,kk16k^k \neq 16 に注意すれば, (f(X),f(Y))=(k,k)(f(X), f(Y)) = (k,k) とならねばならない.そして任意の XUX\subset U に対して f(X)=kf(X) = k である関数 ff は明らかに条件を満たす.この場合,kk の 選択に応じて 20242024 個の関数 ff を得る.

 (f(U),f())=(4,2)(f(U),f(\varnothing)) = (4,2) の場合を考える ((2,4)(2,4) の場合も同様に議論できる).この場合,次が成り立つ.

補題 2. f(U)=4,f()=2f(U) = 4, f(\varnothing) = 2 を仮定する.このとき,任意の XUX\subset Uに対して f(X){2,4}f(X) \in \{ 2,4 \} であり,次が成り立つ:

  1. f(X)=2f(X) = 2 ならば f(UX)=4f(U-X) = 4
  2. f(X)=f(Y)f(X) = f(Y) ならば f(X)=f(Y)=f(XY)=f(XY)f(X) = f(Y) = f(X\cup Y) = f(X\cap Y)

証明  f(X)f(UX)=f(U)f()=16f(X)^{f(U-X)} = f(U)^{f(\varnothing)} = 16 であり,(f(X),f(UX))S(f(X), f(U-X)) \in S に注意すれば f(X)2,4f(X)\in { 2,4 } および主張1. が従う. 主張2. は f(X)=f(Y)=2f(X) = f(Y) = 2 の場合は f(XY)f(XY)=22=4 f(X\cup Y)^{f(X\cap Y)} = 2^2 = 4 となるような (f(XY),f(XY))S(f(X\cup Y), f(X\cap Y)) \in S(2,2)(2,2) に限られることから従う.f(X)=f(Y)=4f(X) = f(Y) = 4 の場合も同様である.

 主張2. より f(X)=f(Y)=4f(X) = f(Y) = 4 ならば f(XY)=4f(X\cap Y) = 4 なので,特に XYX\cap Y \neq \varnothing である.X,YX, Y11 点集合のときを考えれば,これは f({i})=4f(\{ i \}) = 4 であるような ii が高々 11 個であることを意味する.

Case 1. すべての iif({i})=2f(\{ i \}) = 2 である場合.

 補題2. の主張2. を繰り返し用いることで f(U)=f({1}{2024})=2f(U) = f(\{ 1 \} \cup \dots \cup \{ 2024 \}) = 2 が得られるので矛盾.

Case 2. ある一つの iif({i})=4f(\{ i \}) = 4 である場合.

 i=1i=1 の場合を考える (他の ii でも同様). 2j20242\leq j\leq 2024 を満たす整数 jj について f({j})=2f(\{ j \}) = 2 なので,補題2. の主張1, 2. より {2,3,,2024}=U{1} \{ 2,3,\dots, 2024 \} = U \setminus{\{ 1 \}} の任意の部分集合 XX に対して f(X)=2, f(UX)=4f(X) = 2, ~ f(U-X) = 4 が従う.UXU-X11 を含む UU の部分集合全体を走ることから,1Y1\in Y ならば f(Y)=4f(Y) = 4 となる.これによりすべての部分集合に対する ff の値が定まる.

このように構成された関数が条件を満たすことの確認.  逆に,ある i{1,2,,2024}i \in \{1, 2, \ldots, 2024 \} によって f(X)={2(iX)4(iX) f(X) = \begin{cases} 2 \quad (i\notin X) \\ 4\quad (i\in X) \end{cases} と与えられる関数 ff が問題の条件を満たすことを示す.実際,任意の X,YUX,Y \subset U に対し,

  • iX,Yi\notin X, Y ならば, iXY,XYi\notin X\cup Y, X\cap Y だから f(X)f(Y)=22=f(XY)f(XY)f(X)^{f(Y)} = 2^2 = f(X\cup Y)^{f(X\cap Y)}
  • iX,Yi\in X, Y ならば, iXY,XYi\in X\cup Y, X\cap Y だから f(X)f(Y)=44=f(XY)f(XY)f(X)^{f(Y)} = 4^4 = f(X\cup Y)^{f(X\cap Y)}
  • iX,iYi\in X, i\notin Y ならば(逆の場合も同様), iXYi\in X\cup Y, iXYi\notin X\cap Yだから f(X)f(Y)=42=f(XY)f(XY)f(X)^{f(Y)} = 4^2 = f(X\cup Y)^{f(X\cap Y)}

 よって 1i20241\leq i\leq 2024 に対し,問題の条件と (f(U),f())=(4,2)(f(U), f(\varnothing)) = (4,2) を満たす関数が一つ定まるので,(2,4)(2,4)の場合も考慮して 40484048 個の関数 ff を得る.

 以上より,求める個数は 2024+4048=6072 2024 + 4048 = \textbf{6072} 個.

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