この解説は Lim_Rim_ が書いたものを代理投稿したものです.
公式解答の序盤に現れた
ord2(F6m)=ord2(m)+3
ord3(F4m)=ord3(m)+1
は,「代数体上のLTEの補題」から得ることもできる(参考: https://mathlog.info/articles/886 ).
Kを代数体,pをその整数環 OKの極大イデアル,p を 剰余体 OK/pの標数,eをp/pZの分岐指数,すなわち p(OK)p=pe(OK)pを満たす正の整数eとする.
v:K→Z∪{∞} をp進付値とする.v(p)=eである.
定理.
x,y∈K が v(x)=0,v(y)=0,v(x−y)>p−1eを満たすとき,n を任意の整数とすると
v(xn−yn)=v(x−y)+v(n)
が成立する.
本問では,K=Q(5),p=pOK で定理を適用する.なお,p は不分岐 (e=1) であり,pOK は 極大イデアルとなることに注意せよ.
p=2,3 に対して,K 上の p進付値もordpで表す.α=21+5,β=21−5として x=α6, y=β6 とする.x−y=85 だからord2(x−y)=3>2−11 であり,定理が適用できて,
ord2(F6m)=ord2(α6m−β6m)−ord2(α6−β6)+ord2(5α6−β6)=LTEord2(m)+ord2(8)=ord2(m)+3
を得る.
ord3(F4m)=ord3(m)+1 についても,x=α4, y=β4として定理を適用すれば得られる.(ord3(x−y)=ord3(35)=1>3−11なので適用可能).