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NF杯2023

NF杯2023(M)

2n!+112^{n! + 1} - 12n+32n+3 で割り切れるような nn の必要十分条件を求める.n=1n=1は不適であるので,以降 n2n\geq 2とする.

まず,2n!+112^{n! + 1} - 12n+32n+3 で割り切れると仮定する.

 2n+32n+3 の 素因数 pp を任意にとり,p<2n+3p\lt 2n+3 であると仮定する.2n+32n+3 は奇数なので pp も奇数である.2n+3=pk2n+3=pk (k2k\geq 2)と書けたとすると,p2n+32p \leq \frac{2n+3}{2} より pn+1p\leq n+1.よって n!+1n!+1p1p-1 で割った余りは 11 である.条件より 2n!+11(modp)2^{n! + 1} \equiv 1 \pmod{p} であり,フェルマーの小定理より 2p11(modp)2^{p-1}\equiv 1\pmod{p} であるから, 2gcd(p1,n!+1)=211(modp)2^{\mathrm{gcd}(p-1, n!+1)} = 2^1 \equiv 1 \pmod{p} を得るが,明らかに矛盾である.よって 2n+32n+3 は素数である必要があるので,2n+3=p2n+3 = p とおく.2(p32)!+11(modp)2^{(\frac{p-3}{2})! + 1} \equiv 1\pmod{p} となるような素数 pp を決定しよう.

 2d1(modp)2^{d} \equiv 1\pmod{p} を満たす最小の正の整数 dd (2modp2 \bmod{p} の位数) を考える.明らかに dp1d\leq p-1.いま dnd\leq n と仮定すると,2d,2n!+11(modp)2^d, 2^{n! + 1}\equiv 1 \pmod{p} から同様に 21(modp)2\equiv 1 \pmod{p} が得られるから不適.よって n<dn \lt d,すなわち p12d\frac{p-1}{2} \leq d を得る.

 位数の一般論により,ddp1p-1n!+1n! + 1 を割り切る.d=p1d = p-1 と仮定すると p1p-1n!+1n! + 1 を割り切るが,n!+1n!+1は奇数 ( n2\because n\geq 2 )であり p1p-1は偶数なので不適.よって d<p1d \lt p-1 である.p12d<p1\frac{p-1}{2} \leq d \lt p-1 かつ ddp1p-1の約数なので d=p12d = \frac{p-1}{2} が確定する.さらにこのとき,2p121(modp)2^{\frac{p-1}{2}}\equiv 1\pmod{p} より 2modp2\bmod{p} は平方剰余なので,平方剰余第二補充則により p1,7(mod8)p\equiv 1,7\pmod{8} である.d1=p32d-1 = \frac{p-3}{2} に注意して, 2(d1)!+11(modp),2d1(modp)2^{(d-1)! + 1} \equiv 1\pmod{p}, \quad 2^d \equiv 1\pmod{p} を得る.よって 2gcd((d1)!+1,d)1(modp)2^{\mathrm{gcd}((d-1)! + 1, d)} \equiv 1\pmod{p} が導かれる.ここで指数について,次に注意せよ.

補題. d=p12d = \frac{p-1}{2}11, または合成数であるとき gcd((d1)!+1,d)=1.\mathrm{gcd}((d-1)! + 1, d) = 1.

(証明) それぞれの場合において (d1)!(d-1)!dd の倍数であることを示せばよい. d=1d=1のときは明らか.p9p\neq 9 なので d4d\neq 4 に注意.dd44 と異なる合成数である場合,dd は ある奇素数 qq の二乗であるか,1<a<b<d1 \lt a \lt b \lt d であるような整数 a,ba,b によって d=abd = ab と書ける.前者の場合,(d1)!(d-1)! は q2qq\cdot 2q で割れるから dd の倍数である.後者の場合,(d1)!(d-1)!aba\cdot b で割れるから dd の倍数である.(証明終)

 よって 補題のような dd に関しては 211(modp)2^1 \equiv 1 \pmod{p} となるので不適.よって ddは素数でなければならない.

 また,p1(mod8)p\equiv 1\pmod{8} の場合は dd44 の倍数になるので不適.よって p7(mod8)p\equiv 7\pmod{8},すなわち d3(mod4)d\equiv 3\pmod{4}であることが必要.

以上をまとめると, 44 で割って 33 余るソフィージェルマン素数dd (すなわち dd2d+12d+1 が素数) を用いて n=d1n = d-1 と書けること」が必要である.

 逆に上のような nn が十分であることを示す.実際,(d1)!+1(d-1)! + 1 はウィルソンの定理 より drdr (ただし rr は奇数) と書くことができ,2d+17(mod8)2d + 1 \equiv 7\pmod{8} および第二補充則より 2mod(2d+1)2\bmod{(2d+1)} は平方剰余であるので,フェルマーの小定理,rr が奇数であることから 2dr2d(r1)+d1(mod(2d+1))2^{dr}\equiv 2^{d(r-1) + d} \equiv 1 \pmod{(2d+1)} となる.つまり,2(d1)!+112d+1\frac{2^{(d-1)! + 1} -1}{2d+1}は整数となる.

 よって解答するべきは 2d2012\leq d \leq 201 なるソフィージェルマン素数 dd であってd3(mod4)d\equiv 3\pmod{4} となるものすべてに対する (d1)(d-1) の総積である.このような dd3,11,23,83,131,179,191 3,11,23,83,131,179,191 である ( d>3d \gt 3 のときは d11(mod12)d\equiv 11\pmod{12} を利用すると探しやすい).

 以上より, 求める総積は (31)(111)(231)(831)(1311)(1791)(1911)=158629328000\begin{aligned} & (3-1)(11-1)(23-1)(83-1)(131-1)(179-1)(191-1) \\ =& \mathbf{158629328000} \end{aligned}

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