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OMC233

OMC233(B) - 補題の証明の補足

ユーザー解説 by natsuneko

 ここでは,補題の証明の補足を書いておきます.( ζ\zeta は公式解説と同様に定義します.)

  • ζ\zeta の最小多項式が X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 であることについて

X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1ζ\zeta を根として持つことは容易に確かめられるため,X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 が有理数係数の範囲で因数分解できないことを示せばよいと分かる.ここで,X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1ζ,ζ2,ζ3,ζ4\zeta, \zeta^2, \zeta^3, \zeta^444 つの複素数を根として持ち,これらはいずれも実数ではないことから,X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 は有理数係数の一次式を因数に持たないと分かる.よって,因数分解できたと仮定すると,有理数係数の二次式 f(X),g(X)f(X), g(X) によって X4+X3+X2+X+1=f(X)g(X)X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 = f(X)g(X) と表されることが分かる.このとき,一般性を失わずに f(X)f(X)ζ\zeta を根として持つとできる.すると,f(X)f(X)ζ\zeta と共役な複素数である ζ4\zeta^4 も根として持つため,解と係数の関係より,ζ+ζ4\zeta + \zeta^4 は有理数ということになる.しかし,ζ+ζ4=2cos72=512\zeta + \zeta^4 = 2 \cos 72^\circ = \dfrac{\sqrt{5}-1}{2} であり,これは無理数であるため矛盾する.よって,背理法より,X4+X3+X2+X+1X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 が有理数係数の範囲で因数分解できないと示されたため,最小多項式であることも示された.

  • a+bζ+cζ2+dζ3+eζ4=0a=b=c=d=ea + b\zeta + c\zeta^2 + d\zeta^3 + e\zeta^4 = 0 \Longleftrightarrow a = b = c = d = e について

\Longleftarrow については,1+ζ+ζ2+ζ3+ζ4=01 + \zeta + \zeta^2 + \zeta^3 + \zeta^4 = 0 より明らかである.以下,\Longrightarrow を示す.a+aζ+aζ2+aζ3+aζ4=0a + a\zeta + a\zeta^2 + a\zeta^3 + a\zeta^4 = 0 と合わせて (ba)+(ca)ζ+(da)ζ2+(ea)ζ3=0(b-a) + (c-a)\zeta + (d-a)\zeta^2 + (e-a)\zeta^3 = 0 が従う.ここで,ba,ca,da,eab-a, c-a, d-a, e-a の中に 00 でないものが存在する場合,ζ\zeta を根として持つ 33 次以下の有理数係数多項式が存在することになり,ζ\zeta の最小多項式が 44 次であることに矛盾する.よって,a=b=c=d=ea = b = c = d = e が従う.